猫目線で心地よく暮らす vol.7「猫の排泄行動」

2020/12/17

猫にとってトイレは、老廃物を排泄するだけでなく、マーキングとしての役割もあります。またトイレに対するこだわりもあり、気に入らない場合は粗相の原因になります。一方で、基本的に猫はトイレトレーニングを必要とせず、猫が心地よいと場所と感じられれば自然とそこで行うという特徴があります。生後3週齢になると早くも自分で排泄することができるようになりますが、それまでは母猫がお尻を舐めて排泄を促します。排泄物の臭いが周囲に認知されると危険なため、子猫は母親がいる時しか排泄しません。成猫の排尿回数は1日、2〜4回が正常ですが、1日1回まとまってする猫もいます。5回以上は膀胱炎などの可能性があるので、動物病院で相談すると良いでしょう。猫が好むトイレの条件は大きく4つに分けられます。

場所

トイレが遠いと、横着な猫は我慢してしまいます。階段を降りないといけない地下など、行くのにちょっと手間がかかる場所は避けましょう。猫は24時間で過ごすエリアは大体決まっており、1日の75%を過ごすエリアをコアエリアと呼びます。コアエリアの近くに1つはトイレを設置しましょう。また洗濯機の近くなど音がなる場所の近くはトイレには適しません。それ以外にはトイレへのルートが一本道になっているもの避けた方がいいといわれています。不仲な人間や同居猫がルート上にいると精神的な障害が生まれ、やはり我慢してしまうからです。

トイレ本体

トイレ本体に関してはまずはトイレのサイズが十分であること、狭いトイレは猫も使いづらいでしょう。ソファや布団で粗相してしまう猫は広々とした場所で排泄したいという欲求から来ているかもしれません。トイレの全長は猫の頭尾長(直立した状態で鼻から尻尾の付け根まで)の1.5倍とされていますが、残念ながら市販のトイレはほとんどこの条件を満たしていません。最近では多頭飼育用の猫トイレが増えてきており、これはそこそこのサイズがありますので、1匹飼いであっても多頭飼育用トイレを使うのもありでしょう。それ以外には屋根の有無がありますが、十分に清掃されていれば屋根付き、屋根なしは猫の好みに影響しないという報告があります。

猫砂

鉱物タイプ、木製チップ、シリカゲル、紙など様々な種類があり、利便性にも大きく影響する項目です。基本的には粒子が細かい、砂がたくさん敷いてある、吸水性がよく固まりがよい、という条件が猫に好まれます。最も猫に好まれたのは鉱物タイプの砂であったという報告があります。消臭力、軽くて捨てやすい、エコロジーである、などメーカーはオーナーさん向けのPRになりがちですが、実際に使う猫が一番好むものを選ぶと良いでしょう。

その他

基本的なことをその他にまとめます。まず定期的に掃除をして綺麗に保つということです。他の猫の排泄物が溜まっていると、やはりそのトイレは避けます。また砂自体も臭いがついてくるため、月に一度は砂全体を交換し、トイレ本体も洗いましょう。トイレの数は猫の数プラス1個が望ましいとされます。3匹以上の多頭飼育だとこの条件は難しいですが、スペースの許す限りトイレを設置してあげましょう。

まとめ

猫にとって心地よいトイレ環境は上記の4点をクリアしていれば大丈夫でしょう。猫はトイレトレーニングを必要としない代わり、一度粗相をすると修正することが困難です。また粗相はトイレの好みだけでなく、性ホルモンの影響、不安行動、そして病気からきていることもあります。猫の排泄行動で困っている場合は、まずはなぜ粗相するのかを確認しなくていけませんので、一度動物病院で相談してみてください。

参考:

・Carney, Hazel C., et al. “AAFP and ISFM guidelines for diagnosing and solving house-soiling behavior in cats.” Journal of feline medicine and surgery 16.7 (2014): 579-598.

・Beaver, Bonnie V. Feline Behavior-E-Book. Elsevier Health Sciences, 2003

 

山本宗伸 / やまもと そうしん

Tokyo Cat Specialists 院長

日本大学獣医学科外科学研究室卒。東京都出身。授乳期の仔猫を保護したことがきっかけで猫に魅了され、獣医学の道に進む。獣医学生時代から猫医学の知識習得に力を注ぐ。都内猫専門病院で副院長を務めた後、ニューヨークの猫専門病院 Manhattan Cat Specialistsで研修を積む。国際猫医学会ISFM、日本猫医学会JSFM所属。

http://tokyocatspecialists.jp/