猫を飼ってみたいけど、どんな準備をすればわからないという方のために、最初に用意するべきポイントについて解説します。これらのことを準備しておけば安心して飼育することができるでしょう。
マストの準備4つ
1.フード
キャットフードの種類が多すぎてよくわからない、という声も聞きます。確かにフードは室内飼育用、病気予防、自然食品、グレインフリーなどコンセプトが違うものが多数市販されています。
選択肢を絞るために初めてフードを選ぶときは年齢、または月齢に着目して選ぶと良いでしょう。子猫を迎える方が多いと思いますので、その場合は4〜6ヶ月齢向け、1歳未満などのキーワードで探してみましょう。
2.飲水用のボウル、食事皿
子猫の成長スピードは驚くべき速さです。生後1ヶ月齢では400g程度ですが、3ヶ月齢の頃には1500g前後、生後半年では2500~3500gまで成長します。体のサイズに合わないと飲水しづらいですので、最初は専用のボウルではなく、小皿やとんすいで十分です。成長が落ち着く1歳前後になってから、体格にあったボウルを買ってあげると良いでしょう。
3.トイレ
猫は生まれた時から猫であるといわれるように、しつけをしなくてもトイレを使ってくれます。ただしトイレ環境が好ましくないと、ベッドやシーツで排泄してしまいますので、必ず専用のトイレを用意しましょう。
子猫であれば、段差の低い子猫用トイレがありますので、体に合ったものを選びましょう。猫は排泄後にザクザクと砂をかいて、排泄物を隠します。トイレ砂は節約せずたっぷりトレイに入れましょう。子猫のうちはトイレ砂を食べてしまうこともあるので、木製チップなど自然由来のものの方が安心でしょう。
4.家の中に危険なものがないか見直す
家に猫が来る前に自宅内に猫にとって危険なものがないか確認しましょう。刃物や薬・サプリメントなどは必ず引き出しの中にしまいましょう。猫は1.5mぐらいは平気でジャンプしますので、お風呂場や高い場所は特に気をつけましょう。
猫で特に気をつけるべきは観葉植物です。代表的なのはユリ科で、これらの葉や花粉は猫に対して猛毒です。少量摂取でも命に関わりますので、必ず自宅内にないか確認しましょう。それ以外にもアイビーや牡丹など身近な植物も猫に毒性があることがありますので、猫を飼う方は植物をチェックする習慣をつけましょう。同様の植物由来のアロマオイルも猫に有害なことがわかっています。
飼育環境を高める3つ
1.爪とぎ
猫にはガリガリとダイナミックに爪をとげる場所が必要です。爪とぎは猫にとって爪を尖らせるだけでなく、マーキングや気分転換にもなっています。自宅の壁や家具を傷つけられないためにも、しっかりしたものを用意してあげましょう。個人的におすすめはポールタイプです。安定性があり、使える範囲が広いので猫が楽しそうに爪とぎするからです。
2.キャットタワー、おもちゃ、ベッド
猫の飼育環境は垂直方向に導線ができるように仕向けると良いとされています。代表的なのはキャットタワーです。ただ登るだけでなく、寝床になるので、猫が好む窓際などに置いてあげると良いでしょう。おもちゃに関しては、誤飲には気をつけましょう。獣毛を使用しているもの、噛みちぎることができる柔らかいものは特に注意です。
まとめ
猫は飼育しやすい動物であることは間違いありませんが、それでも準備は必須です。まずは食事と排泄がしっかりできる環境を整え、成長とともにより良い環境を整えていってください。ここで全ては書ききれませんが、初めて飼う方は、疑問点は動物病院で遠慮なく質問して大丈夫です。動物病院のスタッフはあなたが猫との素敵な生活を送れるようサポートしてくれるはずです。
山本宗伸 / やまもと そうしん
Tokyo Cat Specialists 院長
日本大学獣医学科外科学研究室卒。東京都出身。授乳期の仔猫を保護したことがきっかけで猫に魅了され、獣医学の道に進む。獣医学生時代から猫医学の知識習得に力を注ぐ。都内猫専門病院で副院長を務めた後、ニューヨークの猫専門病院 Manhattan Cat Specialistsで研修を積む。国際猫医学会ISFM、日本猫医学会JSFM所属。